5月初旬頃より煎茶、そして中旬より玉露・碾茶(抹茶用)の茶摘みが始まります。この年の最初の茶を新茶(または一番茶)と呼び、味、香りともに最高といわれています。その後、人とテクノロジーの両面から追求して、茶の個性をそれぞれ生かした製茶を行い、最良の品質の宇治茶を提供しております。
玉露と煎茶の違いは、主に茶園に覆いを施すかどうかだけで、茶摘み後の製造工程は同じです。工程を理解する上でまずは昔からの方法をご紹介したいと思います。
炭火を「ほいろ」に入れる
1. 茶摘みされた新鮮な生葉は蒸気で蒸します。蒸している間に横長型の「ほいろ」と呼ばれる手揉み台に炭火を入れ、その上に和紙を何十枚も張り合わせてつくられた「助炭(じょたん)」と呼ばれる敷き台を乗せます。
茶切り(葉を乾かす)
2. 「助炭(じょたん)」台に生葉を広げ、葉を手でかき上げながら下からの熱でじっくりと乾かします。(約25分)
横まくり(葉を回転)
3. 生葉を手で転がしながら、乾燥させます。下からの熱でだんだん生葉から水分が無くなっていきます。この作業を1時間20分ほどつづけると葉の香りがただよってきます。一番力のいる工程です。
最終作業の「板ずり」。この工程になると和紙台も裂けるので補修。
4. 「横まくり」で茶の形になってきたところで、玉解き〜茶揃えと進み仕上げ用に「板ずり」と呼ばれる工程に進みます。手前に板を置きその板に沿わせるように葉を揉みます。茶葉の形状を丸く伸ばし、色、つや、香気を良くするための作業です。(約50分)
茶葉の乾燥
5. 最後に「助炭」台に茶葉を薄く拡散し、ときどき反転させながら、上から「うちわ」で扇ぎ冷まします。この後、葉と茎などを選り分けるために荒い目の「ざる」でふるいにかけ選別し、すべての工程を終了します。(最初から最後まで約5時間を要します)
茶葉は収穫される場所によってそれぞれ個性が出てきます。同じ宇治でも茶畑や品種、摘取時期によって「味、香り、色、コク」の違いや特徴があります。合組は茶葉の良いところを引き立てるために混ぜ合わせます。そうすることによって味の良い製品を年間安定してお届けできます。単なるブレンドとは意味が大きく違います。
私たちが真心こめてつくる宇治茶。納得するものだけを、責任をもってお届けしています。皆様のご意見ご要望をお待ちいたしています。